交通事故に遭った際、頸椎に大きなダメージを受けます。
衝撃が大きい場合は、むちうちになったり、その後にストレートネックと診断されたりすることも珍しくありません。
本記事では、むちうちとストレートネックの違いやそれぞれの症状、治療方法や後遺障害について解説します。
ストレートネックとむちうちの違い
ストレートネックとむちうちは、どちらも頸椎に関連する症状ですが、その原因や発症のメカニズムに違いがあります。
ストレートネックは主に姿勢や生活習慣が関与する慢性的な問題なのに対し、むちうちは交通事故やスポーツなどの外部からの強い衝撃が原因となる急性の外傷です。
ストレートネックとむちうちの違いを解説します。
ストレートネックの解説
ストレートネックとは、頸椎の自然なカーブが失われた状態を指します。
通常、頸椎は緩やかなカーブを描いており、このカーブが首のバランスを保つために重要です。
頸椎のカーブが正常な状態では、頭部の重さを首や肩に均等に分散できています。
しかし、ストレートネックになると頸椎のカーブが平坦になってしまい、以下のような慢性的な症状が現れます。
- 頭痛
- 肩こり
- 首の痛み
ストレートネックは、長時間のスマートフォンの使用やパソコン作業など、前かがみの姿勢が原因で引き起こされることが多く、生活習慣によって悪化する傾向があります。
むちうちの解説
むちうちは、交通事故やスポーツなどで外部から頸椎に強い衝撃が加わった際に発生する外傷です。
典型的なむちうちは、自動車の後方から追突された際に、頸椎が急激に前後にしなる動きで起こります。
この際、筋肉や靭帯、神経、骨などが損傷し、以下のような症状を引き起こします。
- 首の痛み
- 頭痛
- 肩こり
- 手足のしびれ
- めまい
むちうちは、事故直後に症状が現れる場合もあれば、数日から数週間後に症状が現れる場合もあります。
そのため、事故直後は症状が軽くても、適切な医療機関を受診して早期診断と治療が必要です。
むちうちとストレートネックの関係
交通事故やスポーツでの衝撃が原因で発生するむちうちは、頸椎に大きな負担をかけるため、その後にストレートネックが引き起こされることがあります。
頸椎に受けた衝撃は、骨や筋肉、神経に直接的なダメージを与えるだけではなく、頸椎の自然なカーブを崩し、ストレートネックの原因となることもあるからです。
むちうちがどのようにしてストレートネックを誘発するか、そしてその関係について解説します。
むちうちがストレートネックを誘発する可能性がある
頸椎はデリケートな部位なので、わずかなダメージでも大きな影響を受けやすく、頸椎のカーブが崩れることもあります。
むちうちの後、すぐにストレートネックの症状が出るとは限りません。
時間が経過してから、頸椎のカーブが失われたことに起因する首の痛みや肩こり、頭痛などの症状が現れることもあります。
交通事故後に首の痛みや違和感が続く場合には、レントゲンやMRI検査を受けて、むちうちやストレートネックの状態を確認することが必要です。
レントゲンやMRIを使用すると、頸椎を詳しく確認でき、むちうちによる筋肉や靭帯の損傷度合や頸椎のカーブの状態も判断できます。
むちうちの場合、頸椎に損傷が見られることが多いですが、ストレートネックの場合は、頸椎のカーブが失われていることが画像で確認できます。
交通事故の衝撃とストレートネックは証明しにくい
ストレートネックは、交通事故の衝撃以外にも、長時間のスマートフォン使用やデスクワークなど、日常的な姿勢の悪さが原因で発生することがあります。
そのため、交通事故とストレートネックの因果関係を明確に証明するのは難しいケースが多いのが現状です。
交通事故後とストレートネックの因果関係を証明するためには、事故直後から適切な医療機関で診断を受け、レントゲンやMRIによる検査結果を保存しておくことが重要です。
交通事故によるストレートネックと後遺障害
交通事故によって頸椎に負った怪我が完全に治癒せず、長期的に痛みや機能障害が残る場合、後遺障害として認定されることがあります。
ストレートネックも、交通事故の結果として発症し、後遺障害に該当する可能性がある症状のひとつです。
後遺障害の定義とストレートネックがどのように認定されるかについて解説します。
後遺障害とは
国土交通省では、後遺障害を以下のように定義しています。
”後遺障害とは、自動車事故により受傷した傷害が治ったときに、身体に残された精神的又は肉体的な毀損状態のことで、傷害と後遺障害との間に相当因果関係が認められ、かつ、その存在が医学的に認められる症状をいい、具体的には自動車損害賠償保障法施行令別表第一又は第二に該当するものが対象となります。”
引用:国土交通省「限度額と補償内容」より
交通事故などで受けた怪我が治癒した後も、身体や精神に何らかの障害が残ると後遺障害に該当します。
後遺障害の認定を受けるためには、以下の条件が満たされる必要があります。
-
交通事故とその後の障害との間に医学的な因果関係があること
-
障害が治療後も継続的に残っていること
-
その障害が自動車損害賠償保障法施行令の基準に該当するものであること
後遺障害が認定されるためには、医学的に証明できる診断書や治療記録が必要です。
ストレートネックは後遺障害に認定される可能性がある
交通事故後にストレートネックの状態が固定化されると、後遺障害として認定される可能性があります。
ストレートネックが後遺障害として認定される場合、以下の等級に該当することがあります。
12級13号:「局部に頑固な神経症状を残すもの」
12級13号に該当する場合、事故後も頑固な神経症状(痛み、しびれ、運動障害など)が継続的に残り、回復が見込まれないと判断されます。
14級9号:「局部に神経症状を残すもの」
14級9号は前述の12級よりも軽度な神経症状が残っている場合に認定されます。
具体的には、痛みやしびれ、運動機能の低下が継続している場合に該当します。
むちうちやストレートネックのケア方法
むちうちやストレートネックの治療には、保存療法が用いられます。
保存療法は手術を行わない治療法で、患者の回復状態や症状に応じて、段階的に治療を進めていきます。
コルセットや頸椎カラーで固定する
まず、むちうちは、事故直後にコルセットや頸椎カラーで頸椎を固定することが一般的です。
事故による衝撃で首周りの筋肉や靭帯が損傷している場合、無理に動かすと症状が悪化する可能性があるからです。
コルセットや頸椎カラーを使うと、首周りの筋肉や靭帯をさらなる刺激から守り、回復に向かう準備が整います。
マッサージやストレッチによる筋肉の緩和
事故から数日経ち、痛みが少し落ち着いてきたら、マッサージやストレッチで首周りの筋肉をほぐすことが推奨されます。
むちうちやストレートネックでは、首周りの筋肉が硬直しやすく、これが痛みやこりの原因となることが多いからです。
マッサージを行う際は医療機関の診断結果を伝え、刺激の少ない施術を選びましょう。
自宅で簡単にできる首や肩のストレッチも、筋肉をほぐすために有効です。
首をゆっくりと左右に倒したり、前後に軽く動かしたりすると、緊張していた筋肉が徐々に緩んでいきます。
ストレッチやマッサージは、首周りの筋肉をリラックスさせるだけではなく、血行を促進し、回復を早める役割も果たします。
むちうちやストレートネックになったら寝具の見直しも必要
むちうちやストレートネックの回復には、寝具の見直しも重要です。
寝ている間は6〜8時間首の状態が固定されるので、正しい姿勢で眠ることが回復を早めるポイントとなります。
特に、適切な高さや硬さの枕は頸椎の自然なカーブを維持し、筋肉や関節に無理な負荷をかけません。
枕が高すぎると、頸椎が前に倒れすぎて首の後ろや肩の筋肉が緊張し、むちうちやストレートネックを悪化させる原因になります。
逆に低すぎる枕は、頸椎に余計な負担がかかります。
硬すぎる枕は睡眠時に首周りや頭がリラックスできず、柔らかすぎる枕では十分なサポートが得られません。
むちうちやストレートネックに適した寝具の選び方として、自然な姿勢で眠れる枕を選びましょう。
弊社が開発した「コリ吉ロール」のように、頸椎の状態に合わせて高さや形状を自由に変えられる枕は、日々の体調に合わせて高さや硬さを調整できます。
頸椎の負担を軽減し、長時間の安定した睡眠が、ストレートネックのに対策大きく役立ちます。
まとめ:むちうちやストレートネックは日頃のケアが大切
むちうちやストレートネックは、長期間にわたって症状が続くことがあります。
後遺障害に認定される可能性もあるので、交通事故やスポーツなどで頸椎に強い衝撃を受けた際はすぐに医療機関で適切な診断を受けましょう。
むちうちやストレートネックの痛みや不調を和らげるためには、日常的なケアも必要です。
高すぎる枕や柔らかすぎる枕を使用している方は、睡眠時に頸椎に大きな負担をかけている可能性があります。
その日の状態に合わせて硬さや柔らかさを調整できる枕をお探しの方は、寝ながら頸椎のケアができるタオル枕をご検討ください。